(『就職勤務・起業・経営技術読本』10)
10 自立経営維持に必要な経営計画作成技術の内容と水準


 経営(起業を含む)とその見直しの基本的出発点

 今日では、経営を継続的・長期的に維持していくためには、最低限度、次のような内容が含まれている経営計画を立てて、それを実現させていくように経営を進めていく必要があると考えられます。(個々の内容は、「就職勤務・起業・経営技術読本」のこれまでの項目ですでに説明済のものです。)
 すでに経営を継続しているのであれば、そして、経営計画を作成しているのであれば、その経営計画の見直しが出発点になります。

   ---今日、自立経営維持に必要な経営計画の最低限度の内容---

 これは、今後最低3年間以上にわたっての、年または月などの一定期間を単位にしたその一定期間ごとの、下記1)から7)までのような内容になります。
 (ただし、下記1)から7)までのそれぞれの内容については、それぞれ相互に関連するものなので、最終的には、総合的に調整して選択することになります。)

1) 下記3)で設定することになる、商品の供給額目標概数と、その商品供給代金の収入額目標概数を実現させていくうえで必要な専門的技術力が不足していると考えられる場合には、その蓄積概数目標を設定し(基本的には、教材選択時間を含む1か月当たりの平均勉強・研修取組時間で計算する。)、
2) その経営組織の職に所属する人々への定期的な一定量の金銭の支給額目標概数を設定し、
3) そのために必要なその経営組織が生み出して供給していくすべての商品の供給額目標概数と、その商品供給代金の収入額目標概数を設定し、
4) それらの目標実現のために必要になる設備機械や、自動車や、仕入品や、電話光熱水道などの使用のための支出額目標概数を設定し、かつ、借入金のある場合の元金の返済額目標概数を設定し、
5) そのそれぞれの目標実現のために必要な、マーケティングやそのためのリサーチや、勉強や、研修などの方法案を設定し、
6) もしも、それぞれの目標実現がどおしても困難であるという状況の見通しがでてきたときにはそれに対応した対策(すなわち修正ないし補足した方法案や目標)を設定するために、基本的には 毎月の会計資料を作成・点検するための方法案を設定し、
7) それらをわかりやすく、表や図形やメモ書きなどでまとめておくこと。

(なお、経営組織の職に所属する人々の中には、個人経営組織の場合の 、自分自身も当然含まれます。)


 そして、このような内容が含まれている経営計画を立てられるということが、自立経営維持に必要な、経営計画作成技術の内容であり、水準でもあると考えられます。
(以上、具体的には、この「就職勤務・起業・経営技術読本」の各頁を参照してください。実際に経営計画を実現させていくためには、その意志と実践行動がいることは当然です。)


 以上の内容を要約して、次のようにも言えます。
 「3年間以上の損益計算書と貸借対照表と資金収支概数計算書の各目標を設定し、その収益確保のために必要ならその前またはそれと並行して、専門的技術力蓄積概数目標を設定し、それらの目標実現のために必要な方法案を設定し、さらに毎月定期的に会計資料を作成・点検する方法案を設定して、それらをわかりやすく表示しておくこと」


補足して、一定期間ごとの経営計画の目標実現がどおしてもできない状況が続くような場合に立てるべき、最も基本的な対策(すなわち修正ないし補足した方法案と目標)は、次のような内容を含むものになると考えられます。
 
 「その現状での、実現可能な、短期的な数か月程度から数週間程度の期間の、収益と損費と借入金元金返済の各目標額概数とその実現方法案を補足設定して、毎月それを繰り返していって、毎月それを実現させていくようにしていく中で、
 基本となる一定期間ごとの経営計画の、目標とその実現の方法案を修正設定して、その目標実現させていくようにしていく」

この、より詳しい対策については、この読本では省きます。


 最後に、経営組織が経営計画を立てるうえでの補足事項として、
 "その経営組織が選択していくべき組織の規模と、他の経営組織との間の連携"
についてはどのように考えていくべきかについて述べてみます。
(ここでは、経営組織の規模を、その職に所属して経済的な活動にたずさわっている人数によって判断するものとします。また、基本的に、1日当り8時間、1月当り20日程度の職の活動にたずさわる人の人数に換算して数えるものとします。)

 経営組織の規模は、基本的には、その組織が供給していくことのできる商品への顧客たちの需要に対して、より的確に応えられる(今日では、1日当たり8時間、1月当たり20日程度の職の活動にたずさわる人の人数に換算して数えた)という要件によって選択されていってよいのではないかと考えられます。

 他の経営組織との連携についても、同様に考えられます。
 すなわち、その経営組織が供給していく商品への顧客たちの需要に対して、その、他の経営組織との連携によって、より的確に応えられるという要件によって選択されていってよいのではないでしょうか。

 また、経営組織の規模や連携の選択とかかわって、経営組織そのものの(会計単位を含むような)具体的な経営上・法律上の構成のありようや、経営組織間での統合・分離の経営上・法律上での問題や、経営組織間の連携の具体的な経営上・法律上のありようなどの問題が生じてきます。

 しかし、この読本では、上のような考え方の指針がありうる、ということにとどめて、これらの、経営組織の規模と他の経営組織との連携の課題に対する具体的な検討は、省略します。


  (『就職勤務・起業・経営技術読本』10−2)
10-2 目標売上高確保のための方法と、利益(その蓄積が資本)を増やしていくための基本的方法
 (基本的技術の下で)


 "売上高"は、経営組織が、1年間など一定期間内に自らの仕事の成果(製品・商品・サービス)を、−仕入をしたものがその中に含まれていればその仕入金額を含めた金額で−顧客に供給した、その代金額の総額のことです。
(売上高は、会計上では、その−それが経営組織の利益の元になるものだという趣旨で−収益収入高とも呼ばれます。)

 売上高のことを「売上」と呼ぶこともありますが、通常、経営組織が個々の「自らの仕事の成果」(製品・商品・サービス)を顧客に供給した代金を(又はその「自らの仕事の成果」の供給契約をしたことそのものを)、「売上」と言っています。

 売上高(収益収入高)の増加は(言い換えると、継続的な収益収入高の目標金額の増加・確保の達成)は、経営での実践上、"金銭を支払うことが自らの判断でできる人にとっての、金銭を支払っても供給を得たいもの(製品・商品・サービス)"を、経営組織自らの仕事の成果(製品・商品・サービス)として、その代金の支払いとの−その時期は、ずれても−引き換えで、その目標値に向けて供給していく(ための契約の獲得をしていく)ことを進めていく、という方法になります。基本的にこれ以外にない、と言えます。
(ここでは、公的サービスの供給と、それと−間接的にでも−引き換えの公租公課との関係については、性質の異なるものを含めて述べると読みにくくなるという点から、除いて述べています。)


 勤労者(被雇用者)を、一つの経営組織として見ることもできます。その売上高(収益収入高)は、基本的に、雇用先からの給与の総額です。その増加(ないし継続的な収益収入高目標値の確保)は、その(被雇用者の−自分自身を一つの経営組織と把握しての)経営での実践上、最も基本的には、"自己の雇用主である経営組織を、一つの経営組織としての自分自身が供給すべき自己の職の仕事の成果の供給先である、と把握して、その雇用主にとっての、金銭を使っても[給与支給をしても]その供給を得たいもの"を、その代金の支払いとの引き換えで、その目標値−として設定すべき−金額に向けて供給していくことを進めていく、という方法になります。

利益を増やしていく最も基本的な方法
 勤労者(被雇用者)にとっても基本的には同じですが、「"利益を増やしていく"最も基本的な方法」については、(以上のような技術の習得活用を生かして)上記のような売上高(収益収入高)を増加させていくことと、"損費"(経費)を節減していくこととを、損費の節減は売上高の確保がなければ実行しようがないので、前者(売上高の増加への取り組み)を基本ないし前提にして、後者(損費の節減)を、並行的に、経営計画の目標達成にかなうようにその目標達成数値と照らしながら、絶えず創意工夫と努力を加えて進めていく、という方法になるでしょう。(以上の、就職勤務・起業・経営技術を要約して、このように言えると思います。)

 追加認識として、誰も経験して認識していることだと思いますが、全般的な景気の好況不況(言い換えると経済的な取引総量の増減)の波のような変動は継続的にあり、また、業種自体の景気の好不況の変動もあるので、特に不況の時期には、「必死になって」というような取り組みを進めていく要素も、それぞれの時点での個人個人の性格と能力と目標値の高さに応じて必要になると言えます。

 さらに、今日、その利益(確保の目標値と実績値)計算をする期間基準は、1か月及び1か年が基本的なものになっていて、それぞれの期間での、売上高と損費の収支結果としての利益確保をしていく必要があると言えます。
 *(月単位での売上高収入と損費支出と、年単位での−こちらは社会保険料などを含む公租公課としての損費支出が重要なものになっている−売上高収入と損費支出とが、それぞれ実行されるのが、それぞれその期間単位となっているためです。
 法的には、個々の取引契約上での売上高収入と損費支出の時期の約定が基本ですが、これも、1か月及び1か年を単位としていることが多いものです。見方を変えれば、個々の取引契約でのそれらの収入及び支出時期が集合された結果が、1か月及び1か年を収入と支出の単位にしていることが基本になっているからだ、と言えます。)


 なおここでの最後に、自分自身を最小単位の経営組織として考えて、自分自身が持っているその時点でのそれらの認識と技術の総体(全体)とを活用して、自分自身がどの程度の人生の時間の割合を、その経営の取組みのために使っていくか、にも応じていると、当然、考えられます。



  (『就職勤務・起業・経営技術読本』10−3)
10-3 基本的対策方法としての、恒常的に、共通の、有効な−プラスベクトル要素のある−対策方法

 (X−(4)−「就職勤務・起業・経営計画の策定実行方法」その基本と具体的内容−の5と同一内容になるものです。)

 この、「就職勤務・起業・経営計画の設定と実行方法」の末尾に、就職勤務・起業・経営のすべてにおいて恒常的に共通の有効な対策方法として認識しておいてよいと考えられることとして、次のことを述べます。

 それは、「経済的な豊かさを獲得するために、他により適切な対策方法があるのであればそれを当然に取り入れることになるが、それはその時現在の『この』取組みの一部(現実的ではないが、この取組みの全部に入れ替わってしまってもよいそれ)に取り入れることになるものであり、特に起業しての取組みを選択したのは、それが考えられる一番有効な選択であると考えての選択であった−またその時現在もその選択を維持していくことになる−その選択の結果の取組みが、可能な限りのすべてを尽くしての結果としてものであるのであれば、その方が−その選択の結果としての人生の方が−その選択をしないでして生きてしまった人生よりも、その取組みの時にも、その結果を受け取る時にも、より喜びの深いものであることは、自分自身に言い聞かせていってよい。」というようなことです。

 つまり、経営の取組みはもちろん、それに限らず、困難な状況の時には特に、「実現させたい夢を持って活動に取り組むことは、それ自体素敵なことだと−このことは、できる限り他者の信頼を裏切らないようにという条件付きで、いつも確認できるので−自分自身に言い聞かせて取り組んでいくべきだ。」というようなことです。
(経営も、人生でのこのような要素を本来含んでいる取組みだと考えられます。)


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