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16. 障害を負っている子の、親亡き後の手続などについて相談したい、
可能な具体的な手続を取っておきたい。

後見制度と民事信託(最近では「家族信託」と呼ばれることが多い)制度を活用して
可能になることのおおよそと、
当事務所でのその手続のおおよそ、について



−A4で2枚くらいの分量です。『サイト内主な用語索引』『サイト内全文検索』などもご参照ください。−


 「後見」制度という場合、正確には「成年後見」と「未成年後見」の二つの制度を合わせ制度のことです。近年では「成年後見」制度のことを単に「後見」制度と呼ぶことが多くなっています。

 この「成年後見」の制度については、項目の15.に述べている所を参考にしてください。

 「未成年者の後見」制度は、未成年者の両親が無くなったような場合に、裁判所が、関係者の申立によって未成年者後見人を選任し、裁判所と、「未成年者後見監督人」が裁判所よって選任された場合にはその監督も受けながら、その親が行うのと同様な、未成年者の身上監護や財産管理の仕事を未成年者後見人が行う、という、「民法」に定められている制度です。


 その、未成年者後見人の仕事は、未成年者であるという条件に特に関わるもの(監護・教育・居所指定・懲戒・職業許可)を別として、成年後見人のする仕事と同様なものになります。


 「一人親」になったような場合、遺言で、未成年者後見人を指定しておくことができます。


 未成年者後見人や、成年後見人、あるいは任意後見契約に基づいて任意後見の事務を行う「任意後見受任者」がいる場合でも、次のような問題については、適切な対策を実行できません。

1.未成年者後見人がいる場合でも、成人した場合に、さまざまな障害などにより、判断能力が社会的にみて不十分だったり、浪費癖が多いなど財産管理をする力の弱い人など、その人に取って一番適切な成年後見人が選任される保証がないこと。特に浪費癖の多いために財産管理をする力の弱い人などの場合、「判断能力が不十分」であるという成年後見人を選任する要件が欠けているとして、選任されない場合もあること。

2.遺言で、未成年者後見人を指定しておくことはできますが、その子が成年になった時の、その子の成年後見人をあらかじめ指定しておくことなどはできないこと。

3.未成年の子の場合でも、又は成人の子の場合でも、さまざまな障害などにより、判断能力が社会的にみて不十分だったり、浪費癖の多かったりなど、財産管理をする力の弱い子の場合などに、親が成年後見人なることはできますが、親が亡くなった後の成年後見人を遺言などで指定しておくということはできないこと。(そのこと自体で遺言が無効になることはないと考えられますが、法律上の効力を持ちません。)


 以上のような、未成年者に関しての民法上での制度の不十分さの問題は、成人でも、配偶者間での相互の監護や財産管理を行う場合とか、自分自身の財産管理をする力が老齢化などに伴って不十分になるような場合についても生じています。

4.上記3.のことは、成人の、配偶者が成年後見人になっている場合に、その人が亡くなった場合のことについても、言えます。つまり、配偶者が成年後見人になっている場合に、その人が亡くなった後の成年後見人を遺言などで指定しておくということはできないこと。(そのこと自体で遺言が無効になることはありませんが、法律上の効力を持ちません。)

5.また、遺言では、「まず配偶者に、そして、その配偶者が−病気や障害で判断能力がなかったような時に−死亡した後は、その子供に」などの順での順次の財産の相続分の指定などができません。

6. 自分自身の判断能力や活動力の衰えが進んだような時期に、成年後見の制度を利用できるかどうか不明であるような場合には、事前に、その財産管理を信頼できる第三者に託しておくということが、民法上では適切に行うことが困難です。
 通常の事務委任契約などと同様な財産管理の委任契約をしておくことはできますが、契約解除がなされる場合があり、また委任を受けた人が亡くなった場合には、その後の委任を受ける人が選任されるということが、保証されません。

7.主な相続財産が住宅などの不動産だけであるような場合に、相続分の指定をする遺言をしておくだけでは、民法上の遺留分の定めに基づいてその相続の効果が生じるため、自分が亡くなった後にその住宅に住まわせたい配偶者や、障害のある子や、自分の事業を次いでくれる子などに、そこに住んでいられる権利が必ずしも保証されないこと。


 若干の例示ですが、以上のような場合に、民事信託(家族信託)の制度を活用すると、事前に、自分自身を委託者、信頼できる人や、社会福祉法人など法人や、信頼できる子供たちが設立する「一般社団法人」などの法人を「受託者」とし、障害を持つ子や配偶者などを「受益者」として、その信託財産については、委託者・受託者・受益者のそれぞれの財産からは独立した法的な安全性の高いものとして、管理委託をしていくことが可能になりえます。

 また、民事信託(家族信託)制度では、当初自分自身を委託者兼受託者兼受益者の一人として、自分自身がその財産管理などの受託事務を開始し(これを自己信託と呼びます。)、それが困難になってきた時点であらかじめ定めた信頼できる受託者にその事務を引き継いでもらっていくということもできます。

 なお、「民事信託」は(「家族信託」も)、法律上の用語ではありません。"信託業法" による免許を受け、あるいは届出をして営業として行う信託− 広く "商事信託" あるいは "営業信託" と呼ばれているもの−に対して、それ以外の、基本的に、信託の受託者が特定の人や法人である場合の−一回きりの受託者である場合の−信託を指して使っている言葉です。


 当事務所でこれらの問題についての相談を受けて、それに対するアドバイスを行っていく場合には、まず基本的に「個別相談」又は期間を定めての「継続的相談」として受託します。
 その中で、計画的に民事信託制度活用をしていくことができる程度にその内容がまとまり、それが確認できるようになる時点で、信託についての契約案の作成提供事務や、遺言や信託公正証書作成準備の事務や、必要により、信託に基づく不動産の登記手続事務を受託して実行することなどを進めることになります。

 さらに、これらのそれぞれの事務については、税理士や公証人など関係者との連絡・連携を十分に行ったうえで進める必要があり、税理士との−ご本人からの委託に基づいての−相談費用、そして公正証書での手続をすすめる場合にはその公証人の公正証書作成費用がかかることになります。

 当事務所での「個別相談」又は期間を定めての「継続的相談」事務報酬や、信託についての契約案の作成提供事務・遺言や信託公正証書作成準備の事務・信託に基づく不動産の登記手続事務などのそれぞれ報酬額基準については、Home − メインメニュー − U「(当事務所で提供可能な業務の種類と内容 /) 業務の報酬額基準」をご参照下さい。
 なお、具体的な業務内容や費用がどのようなものになるのか、などのお問い合わせにつきましては、当然無料でご回答できます。

 (これに関して、『お問合せ・相談窓口』の「フォーム」からのご相談を受けた場合、事務所代表者の時間の取れる限りでとして、有料相談業務又はその他の有料での業務受託契約をするまでは、無料相談が可能です。)


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(読んで頂く情報としては専門的で詳細すぎるかもしれませんが、より詳しく知りたい場合。)
     
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