○トピックスプラス-現代日本の法律 見出しへ戻る。
|
|
20141210
「特定秘密の保護に関する法律」が施行されました。
27条から成る条文で、ここに直接引用では長すぎるため、「総務省 法令データ検索システム」から、そのリンク(外部リンク)を表示して掲載します。
第1条末尾にある、「国民の安全の確保」は分かる−できれば、国民と関係者の安全の確保」のようにしてもらいたい−のですが、「我が国の安全の確保」とは、どういうことなのでしょう。
第1条の中ほどに、「我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)」の中にも、「国家の安全」という言葉が使われていますが、同じく。
国民と関係者の安全に奉仕すべき組織としての「国家−国−」に対して、「安全」などという言葉は使用せず、「国家の機能」のような言葉にして、国民と関係者の安全をまず第一に位置づけてもらいたい−そうなってはいない−と考えています。
20130408(2)
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」が、2013年4月1日に施行されました。
本文12条、附則4条から成る法律で、他の法律からの引用をして用語を定義している部分もあって簡単に読み進めていくことは困難だと思いますが、このような法律もできている、概要はこのようなものであるという趣旨で、全文引用します。
国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律
(平成二十四年六月二七日法律第五十号)
(目的)
第一条 この法律は、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人による障害者就労施設等からの物品及び役務の調達の推進等に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針及び調達方針の策定その他障害者就労施設等の受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより、障害者就労施設等が供給する物品及び役務に対する需要の増進等を図り、もって障害者就労施設で就労する障害者、在宅就業障害者等の自立の促進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「障害者」とは、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者をいう。
2 この法律において「障害者就労施設」とは、次に掲げる施設をいう。
一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設、同条第二十五項に規定する地域活動支援センター又は同条第一項に規定する障害福祉サービス事業(同条第七項に規定する生活介護、同条第十三項に規定する就労移行支援又は同条第十四項に規定する就労継続支援を行う事業に限る。)を行う施設
二 障害者の地域における作業活動の場として障害者基本法第十八条第三項の規定により必要な費用の助成を受けている施設
三 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二条第三号に規定する重度身体障害者、同条第四号に規定する知的障害者又は同法第六十九条に規定する精神障害者であって同法第四十三条第一項に規定する労働者であるものを多数雇用する事業所として政令で定めるもの
3 この法律において「在宅就業障害者」とは、障害者の雇用の促進等に関する法律第七十四条の二第三項第一号に規定する在宅就業障害者をいう。
4 この法律において「障害者就労施設等」とは、障害者就労施設、在宅就業障害者及び障害者の雇用の促進等に関する法律第七十四条の三第一項に規定する在宅就業支援団体をいう。
5 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。
6 この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。
7 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。
(国及び独立行政法人等の責務)
第三条 国及び独立行政法人等は、物品及び役務(以下「物品等」という。)の調達に当たっては、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るため、予算の適正な使用に留意しつつ、優先的に障害者就労施設等から物品等を調達するよう努めなければならない。
(地方公共団体及び地方独立行政法人の責務)
第四条 地方公共団体は、その区域の障害者就労施設における障害者の就労又は在宅就業障害者の就業の実態に応じて、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。
2 地方独立行政法人は、当該地方独立行政法人の事務及び事業に関し、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。
(障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針)
第五条 国は、国及び独立行政法人等における障害者就労施設等からの物品等の調達を総合的かつ計画的に推進するため、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国及び独立行政法人等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本的方向
二 優先的に障害者就労施設等から調達すべき物品等の種類その他の障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本的事項
三 障害者就労施設等に対する国及び独立行政法人等による物品等の調達に関する情報の提供に関する基本的事項
四 その他障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する重要事項
3 厚生労働大臣は、あらかじめ各省各庁の長等(国にあっては各省各庁の長、独立行政法人等にあってはその主務大臣をいう。以下同じ。)と協議して基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 厚生労働大臣は、前項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(障害者就労施設等が供給する物品等の調達方針)
第六条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長(当該独立行政法人等が特殊法人である場合にあっては、その代表者。以下同じ。)は、毎年度、基本方針に即して、物品等の調達に関し、当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならない。
2 前項の方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 当該年度における障害者就労施設等からの物品等の調達の目標
二 その他障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する事項
3 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第一項の方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第一項の方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
(調達実績の概要の公表等)
第七条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、障害者就労施設等からの物品等の調達の実績の概要を取りまとめ、公表するとともに、厚生労働大臣に通知するものとする。
2 前項の規定による厚生労働大臣への通知は、独立行政法人等の長にあっては、当該独立行政法人等の主務大臣を通じて行うものとする。
(厚生労働大臣及び内閣総理大臣の要請)
第八条 厚生労働大臣及び内閣総理大臣は、各省各庁の長等に対し、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。
(地方公共団体及び地方独立行政法人による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等)
第九条 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、毎年度、物品等の調達に関し、当該都道府県、市町村及び地方独立行政法人の当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならない。
2 前項の方針は、都道府県及び市町村にあっては当該都道府県及び市町村の区域の障害者就労施設における障害者の就労又は在宅就業障害者の就業の実態に応じて、地方独立行政法人にあっては当該地方独立行政法人の事務及び事業に応じて、当該年度に調達を推進する障害者就労施設等が供給する物品等及びその調達の目標について定めるものとする。
3 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、第一項の方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、第一項の方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
5 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、障害者就労施設等からの物品等の調達の実績の概要を取りまとめ、公表するものとする。
(公契約における障害者の就業を促進するための措置等)
第十条 国及び独立行政法人等は、国又は独立行政法人等を当事者の一方とする契約で国又は独立行政法人等以外の者のする工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物品の納入に対し国又は独立行政法人等が対価の支払をすべきもの(以下「公契約」という。)について、競争に参加する者に必要な資格を定めるに当たって障害者の雇用の促進等に関する法律第四十三条第一項の規定に違反していないこと又は障害者就労施設等から相当程度の物品等を調達していることに配慮する等障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、前項の規定に基づく国及び独立行政法人等の措置に準じて必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(障害者就労施設等が供給する物品等に関する情報の提供等)
第十一条 障害者就労施設等は、単独で又は相互に連携して若しくは共同して、その供給する物品等の購入者等に対し、当該物品等に関する情報を提供するよう努めるとともに、当該物品等の質の向上及び供給の円滑化に努めるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十五年四月一日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図る観点から、障害者就労施設等の自主性を尊重しつつ適切な物品の生産及び物品等の質の確保に関する技術的支援及び訓練を行い、並びに障害者就労施設等が供給する物品等の購入者等に対し必要な情報の提供を行う体制の在り方について、三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、公契約の落札者を決定するに当たってその入札者が障害者の雇用の促進等に関する法律第四十三条第一項の規定に違反していないこと、障害者就労施設等から相当程度の物品等を調達していること等を総合的に評価する方式を導入することについて、三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(税制上の措置)
第三条 国は、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(経過措置)
第四条 平成二十六年三月三十一日までの間における第二条第二項第一号の規定の適用については、同号中「第五条第十一項」とあるのは「第五条第十二項」と、「同条第二十五項」とあるのは「同条第二十六項」と、「同条第十三項」とあるのは「同条第十四項」と、「同条第十四項」とあるのは「同条第十五項」とする。
20130408(1)
「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法」が、2013年3月1日に施行されました。
8条から成る法律で、タイトル通りの内容のものであり、条文も長くはないため、そのまま引用します。このような法律ができたその効果の程を見ていきたいと思います。
母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法
(平成二十四年九月十四日法律第九十二号)
(目的)
第一条 この法律は、子育てと就業との両立が困難であること、就業に必要な知識及び技能を習得する機会を必ずしも十分に有してこなかったこと等の母子家庭の母が置かれている特別の事情並びに子育てと就業との両立が困難であること等の父子家庭の父が置かれている特別の事情に鑑み、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別の措置を講じ、もって母子家庭及び父子家庭の福祉を図ることを目的とする。
(母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する施策の充実)
第二条 厚生労働大臣は、母子及び寡婦福祉法 (昭和三十九年法律第百二十九号)第十一条第一項 に規定する基本方針(以下この条において「基本方針」という。)において、同条第二項各号に掲げる事項のほか、父子家庭の父の就業の支援に関する事項を併せて定めるものとする。
2 厚生労働大臣は、基本方針について、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業に関する状況を踏まえ、その安定した就業を確保するための支援に特別の配慮がなされたものとしなければならない。
3 厚生労働大臣及び関係行政機関の長は、基本方針において母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関して講じようとする施策の充実が図られるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
4 母子及び寡婦福祉法第十一条第二項第三号 に規定する母子家庭及び寡婦自立促進計画(以下この条において「自立促進計画」という。)を策定する同号 に規定する都道府県等は、自立促進計画において、同法第十二条 各号に掲げる事項のほか、当該都道府県等の区域における父子家庭の父の就業の支援に関する事項を併せて定めるものとする。
5 前項に規定する都道府県等は、自立促進計画について、基本方針に即し、職業能力の開発及び向上の支援その他母子家庭の母及び父子家庭の父の安定した就業を確保するための支援に特別の配慮がなされたものとしなければならない。
第三条 国及び地方公共団体は、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るための措置を講ずるに当たっては、情報通信技術等に関する職業能力の開発及び向上並びに情報通信ネットワークを利用した在宅就業等多様な就業の機会の確保並びにこれらに関する業務に従事する人材の養成及び資質の向上に留意しなければならない。
(母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する施策の実施の状況の公表)
第四条 政府は、毎年一回、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。
(民間事業者に対する協力の要請)
第五条 国は、第一条に規定する母子家庭の母が置かれている特別の事情及び父子家庭の父が置かれている特別の事情に鑑み、民間事業者に対し、母子家庭の母及び父子家庭の父の優先雇用その他の母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るために必要な協力を求めるように努めるものとする。
(母子福祉団体等の受注機会の増大への努力)
第六条 国及び独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法 (平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号 の規定の適用を受けるものをいう。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものは、物品及び役務の調達に当たっては、母子及び寡婦福祉法第六条第六項 に規定する母子福祉団体その他母子家庭の母又は父子家庭の父の福祉を増進することを主たる目的とする社会福祉法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 に規定する特定非営利活動法人であって、その受注に係る業務を行う者が主として母子家庭の母又は父子家庭の父であるもの(以下この条において「母子福祉団体等」という。)の受注の機会の増大を図るため、予算の適正な使用に留意しつつ、優先的に母子福祉団体等から物品及び役務を調達するように努めなければならない。
(地方公共団体等の努力)
第七条 地方公共団体は、前二条の規定に基づく国の施策に準じて、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るために必要な施策を講ずるように努めるものとする。
2 地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。)は、物品及び役務の調達に当たっては、前項の規定に基づきその設立に係る地方公共団体が物品及び役務の調達に当たって講ずる措置に準じて、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(財政上の措置等)
第八条 国は、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。
20081115(1)
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」が、2008年12月1日から施行されます。
ここでは、要点のみを記載します。
既存の社団法人、財団法人は、当面(2008年12月1日から5年間)は、次の項に記載する手続を取らない間は、税制を含め、現行の制度まま存続します。(「特例民法法人」と総称されています。)
この当面の期間内に、一定の手続を取って、一つ目の選択として、新制度の「公益社団法人」又は「公益財団法人」への移行の認定を受けて、新制度の「公益法人(略称)」になるか、二つ目の選択として、新制度の「一般社団法人」又は「一般財団法人」に移行する認可申請をして、新制度の「一般社団・財団法人(略称)」に移行することの選択をすることになります。
いずれの選択もしなかった場合、期間満了時点で、法律上当然に解散することになっています。
「一般社団法人」は、剰余金の分配を事業目的に含まない(剰余金の分配自体が認められない)、その基本的な構成員である「社員」によって構成される、一定の事業目的を持った法人です。
一般社団法人は、2名以上の社員が、法人の根本規則である「定款」を作成し、公証人の「認証」という確認手続を受けて、法務局に設立登記申請をすることによって設立されます。その事業目的については、基本的に制限はありません。また、「社員総会」のほか、法人の業務を執行する機関である「理事」が、最低限度の法人の構成機関になるものとされています。
「一般財団法人」は、剰余金の分配を事業目的に含まない(剰余金の分配自体が認められない)、その法人の設立者がその法人設立のために拠出する一定の(300万円以上の)財産を拠出することによって設立された、その拠出された財産が主体となる、一定の事業目的を持った法人です。
一般財団法人は、設立者が、法人の根本規則である「定款」を作成し、公証人の「認証」という確認手続を受け、その定款に定めた財産を拠出し、評議員などの機関を選任して、法務局に設立登記申請をすることによって設立されます。その事業目的については、基本的に制限はありません。一般財団法人の機関としては、「評議員」、及び3人以上の評議員から構成される「評議員会」、「理事」、及び3人以上の理事から構成される「理事会」、及び「監事」が、最低限度の法人の構成機関になるものとされています。
一般財団法人の評議員会は、定款で定めた事項、その他法律で規定する基本的事項についての法人の最高の決定機関であり、理事会は、法人の業務執行を決定する機関であり、「監事」は、理事の業務執行を監査する機関となります。
「公益社団法人」及び「公益財団法人」は、それぞれ、一般社団法人又は一般財団法人が、その事業目的として一定の公益目的事業を行うことを主たる目的とし (その事業規模が、法人の事業の50パーセント以上となることが見込まれることが必要とされています。)、 また、「公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること」を最低限度の要件として、その他、機関構成員の条件などについての法律上の一定の基準を満たしている場合に、行政庁の認定を受けられることによって、「公益社団法人」又は「公益財団法人」と称されることになる法人です。
「公益社団法人」及び「公益財団法人」は、インターネットなどで公示されるほか、その法人に対して税制上の特例優遇措置が摘要されることとされています。
なお、公益認定を受けていない(特例民法法人以外の)一般社団・財団法人でも、その中の、「共益的活動を行う法人として一定の要件を満たす法人」、又は、「その目的において非営利型性が徹底されているものとして一定の要件を満たす法人」については、法人税法上、「非営利型法人」とされて、「公益社団・財団法人」が受けられる税制上の特別優遇措置よりも狭い範囲のものになりますが、収益事業により生じた所得に対してのみ課税される、という優遇税制措置を受けられるとされました。
(特例民法法人以外の一般社団・財団法人で、非営利型法人に該当しない法人は、すべての所得に対して法人税課税がされます。また、「公益社団・財団法人」は、すべて「特定公益増進法人」となり、その法人に対する寄付金について、寄附金優遇税制措置の対象になるとされています。)
* 20081228、国税庁HP『新たな公益法人関係税制の手引』等に準拠して、前項をかっこ書き部分を含めて追加。
** この法律の施行の際に変更されることになる、「中間法人の制度について」は、「当サイト内用語索引」を参照してください。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20060603(1)
「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」が、平成18年6月2日、公布・施行されました。
ここでは、第1条から3条までを引用します。
ただし、この第2条の基本理念の中での「国民」とは、明言してはありませんが、「何よりも富裕層(所有純資産と年間平均所得収入が富裕な階層) に属する人々」のことであることが共通認識になっている、ように私には思われます。
(目的)
第一条 この法律は、簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題であることにかんがみ、簡素で効率な政府を実現するための行政改革について、その基本理念及び重点分野並びに各重点分野における改革の基本方針その他の重要事項を定めるとともに、行政改革推進本部を設置置することにより、これを総合的に推進することを目的とする。
(基本理念)
第二条 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革は、国際化及び情報化の進展、人口構造の変化等の経済社会情勢の変化の中で、我が国の国際競争力を強化し、国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、民間の主体性や自律性を高め、その活力が最大限に発揮されるようにすることが不可欠であることにかんがみ、政府及び地方公共団体の事務及び事業の透明性の確保を図り、その必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分けを踏まえた検討を行った上で、国民生活の安全に配慮しつつ、政府又は地方公共団体が実施する必要性の減少した事務及び事業を民間にゆだねて民間活動の領域を拡大すること並びに行政機構の整理及び合理化その他の措置を講ずることにより行政に要する経費を抑制して国民負担の上昇を抑えることを旨として、行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、次章に定める重点分野について、前条の基本理念にのっとり、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革を推進する責務を有する。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20060505(1)
新会社法が、本年5月1日から施行されています。--大会社以外で、事業経営者自身が認識しておくことが有益な、新会社法上の制度について掲記しました。
* 新会社法上で、「大会社」とは、『最終事業年度での貸借対照表で、資本金として計上した金額が5億円以上である会社または負債の部の合計額が200億円以上の会社』と定義されています。
(A)「既存株式会社(新設の株式会社を含む)」の場合の特有事項と、
(B)「既存有限会社」の場合の特有事項と、
(C)「既存株式会社・既存有限会社の両方に共通する事項」、
とに分けて、以下掲記します。
** さらに、このトピック項目の末尾に、今後重要になっていくと思われる、「定款」・「議事録」・「計算書類」などの作成備え付けと、債権者・株主からの閲覧謄写請求にかかわる、重要な変更事項について、掲載しました。(20060520追加事項)
(A) 既存株式会社(新設株式会社を含む)の場合
(会社法施行後に設立された新設株式会社にも当てはまる事項です。新設株式会社も設立後は、その時点から既存株式会社になる、という意味を、この「既存株式会社」に加えています。なお、大多数の株式会社がそれに属する、「全ての発行株式に、譲渡制限が付けられている会社」--下記*で述べる「非公開会社」--の場合を基本としたものです。)
* 「発行株式の一部であっても、譲渡制限のない株式を発行している会社」のことを、会社法では、「公開会社」と定義しています。これまで一般的な意味であった、証券市場に株式を公開している会社のことを指していた用語の意味とは、異なることになります。この、会社法の定義上の意味での「公開会社」に対して、「全ての発行株式に譲渡制限が付けられている--ここで取り上げる基本としている--、会社」のことは、「非公開会社」ということができます。
(T) 会社の機関構成が、会社の規模や株主の構成に照らしあわせて、複数(多数)の中から選択できるようになり、選択肢が増えたこと。
(1) 会社の規模、株主構成に見合った役員構成が選択できるようになりました。
(a) 具体的には、取締役会は置かなくてもよく、また、取締役1名だけの会社の機関構成も、可能になりました。(最低限度必要な株式会社の機関は、株主総会と取締役1名です。)
(b) 監査役も、取締役会を置かない限り、置かなくてもよいようになりました。(ただし、取締役会を置かない場合には、会社の事業運営に関しては、基本的にすべて株主総会で決定できることになり、他人資本が入る場合、取締役会設置会社の方が効率的ということもあります。)
(c) 監査役の業務権限(責任範囲でもある)については、非公開会社の場合には、定款に定めることによって、会計監査の範囲に限定することができます。それ以外の場合は、監査役の業務権限(責任)が、業務監査を含むことになり、広がっています。
(d) 次に、「会計参与」という制度ができました。これは、取締役と共に計算書類を作成する職務を行う会社の役員で、税理士など専門資格を持った者が就任します。この、会計参与を置くことで、取締役会設置会社でも、監査役を置かなくてもよいことになっています。
会計参与を置くことで、計算書類の信用性が高まり、融資を受けやすくなる可能性も考えられます。
(会計参与は、下記(B)で述べる「特例有限会社」を別に、基本的にどの会社でも置くことができます。)
(2) 取締役1名などの会社の場合に、取締役などが死亡や事故などで欠けた場合に備えて、補欠の取締役などを選任しておくことが可能になります。
(3) 役員の任期を、取締役2年、監査役4年の基本から、「選任時から10年(内の最終の事業年度に関する定時株主総会の終了時)」まで、延長できるようになりました。
(この場合、途中で解任するようなときには、損害賠償請求の可能性は高まるといえます。また、任期をわすれてしまわないように注意する必要があります。)
(U) 会社が、株式相続人に対して、株式の買取請求ができるようなりました。
定款で定めておくことにより、株主に相続が発生したときに、会社が、株主総会の特別決議に基づいて、相続人から株式を買い取ることができるようになりました。
(V) 株主総会の招集通知期間の短縮や、株主総会の開催そのものの省略も、可能になりました。
(1) 定款で定めておくことにより、株主総会の招集通知期間を(非公開会社の場合基本的に1週間前、との法律の規定につき)さらに短縮することができるほか、
(2−1) 取締役または株主から株主総会の目的である事項について提案した場合、株主全員が書面等により同意の意思表示をしたときには、当該提案の株主総会決議があったものとみなされることになり、
(2−2) さらに、株主総会への報告事項についても、取締役が株主全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合に、その事項を株主総会に報告することを要しないとの意思表示を株主全員が書面等で行ったときは、その事項の株主総会への報告があったものとみなされることになりました。
(つまり、上記の2−1、2−2がなされれば、たとえば定時株主総会の開催そのものも不要になることになります。)
(B) 既存有限会社の場合
(T) 株式会社とみなされて、新会社法の適用を受けることになります。が、特例で、名称が「有限会社」のままとされるほか、これまでの有限会社の規律と同様な規律が適用される部分がほとんど、となっています。
この、会社法の特例が適用される、株式会社とみなされることになった会社を、「特例有限会社」といいます。
(1) 既存の有限会社はどうなる?
(a) 特に何もしなくても、(「特例有限会社」と呼ばれる)株式会社とみなされることになります。そして、「社員」は「株主」と、「(出資)持分」は「株式」と、「(出資持分の)口数」は「株数」と読み替えられることになり、「社員総会」の代わりに「株主総会」を招集、開催することになります。
登記簿にも、会社の名称は有限会社のままとなりますが、株式会社とみなされることに伴い必要な記載が、登記官の職権で、たとえば、「発行済株式数」などの記載がなされます。
(b) また、特例有限会社の株式の譲渡に関しては、これまでの有限会社と同じく、発行している株式全部について譲渡制限のある株式とみなされ、株主間では自由に譲渡できることとされています。
(c) さらに、これまでどおり、取締役などの役員の任期については制限がなく(任期を定める必要はなく)、決算公告をする義務もないことになっています。
(d) 特例有限会社は、任意の機関として監査役を置くことができますが、監査役の業務権限については、会計監査の範囲に限定されています。
(2) 既存の有限会社の選択肢として、「特例有限会社」のままで(つまりそのままでいて)可能になった重要なこと
(a) 取締役1名などの会社の場合に、取締役などが死亡や事故などで欠けた場合に備えて、補欠の取締役などを選任しておくことが可能になります。
(b) 会社が、株式相続人に対して、株式の買取請求ができるようなりました。
定款で定めておくことにより、株主に相続が発生したときに、会社が、株主総会の特別決議に基づいて、相続人から株式を買い取ることができるようになりました。
(3) 「特例有限会社」の選択肢として、通常の「株式会社」へ移行する(「特例有限会社」であることをやめて、正真正銘の株式会社になる)ことの可否と、通常の「株式会社」へ移行することによるメリットとデメリット
(a) 「特例有限会社」の選択肢として、通常の「株式会社」へ移行することは可能です。株主総会で定款の変更決議をし、有限会社の解散登記と株式会社の設立登記をすることによって、行なわれることになっています。
(b−1) 特例有限会社が、通常の株式会社へ移行することによる「メリット」としては、
上記(A)で述べた、通常の株式会社としての選択肢として特例有限会社では選択できない機関等(会計参与等)の設置をすることができ、また、決算公告が義務づけられていることなどによって、経営組織としての信用が高まり、取引上有利になる場合があることと、融資も受けやすくなることが、考えられます。
(b−2) 特例有限会社が、通常の株式会社へ移行することによる「デメリット」としては、
(あ) 事業年度毎の決算公告が義務づけられること
(い) 取締役など役員の任期が最長10年以内とされ、その改選と登記手続が必要になること
(う) 移行することに伴う、登記手続・印鑑作成・看板作成・広報・各種名義変更手続費用などがかかること
などがあります。
(C) 既存株式会社と特例有限会社とに共通した、
新会社法における重要な(認識しておくと有益な)改正事項に関しては、
以上の、(A)、(B)の各事項の他に、
「計算書類」などの作成に関連した、下記(1)(2)(3)があるといえるでしょう。
(新設株式会社を含み、基本的に非公開会社の場合の事項です。)
* さらに、「計算書類」の作成と関連して、債権者や株主からの、「計算書類」・「定款」・「議事録」の閲覧謄写請求に関する重要な変更事項について、このトピック項目の最後に掲載しました。(20060520追加)
(1) 「計算書類」の (a) 「作成方法」 ・ (b) 「承認方法」 ・ (c) 「作成時期」の変更があったこと、
(2) 計算書類の作成などに関連して、株主に対する会社財産の払戻しについて、「剰余金の配当」という用語で、統一的な把握がなされるようになったこと。
(3) さらに、計算書類の作成等に関連して、債務超過状態の株式会社(特例有限会社を含む)を消滅会社とする「合併」等が、(これまで実務上で直接的には認められなかったものが)認められるようになりました。
この、計算書類に関連する変更は、基本的に形式的な変更といえると思います。
ただし、取締役の「賞与」について、これまで「利益金の処分」とする扱いが認められていたのが、「賞与」は取締役の報酬であるものとされ、取締役報酬は、賞与を含めてすべて「費用」として支出することが基本の扱いとされることとなる変更がなされました。これは実質的な変更部分といえると思います。
以下で、具体的に述べます。
−−記−−
(1) 「計算書類」の
(a) 「作成方法」の基本的な部分としては、
(あ) 「貸借対照表」「損益計算書」については、基本的にこれまで通りですが、「資本の部」が「純資産の部」と変わっています。
(い) 「営業報告書」の内容は、「事業報告」に含まれることになり、営業報告書は、「計算書類」から外されました。
(う) 「利益処分・損失処理案」は計算書類から外され、代わりに、「株主資本等変動計算書」を作成することに変わりました。
(え) 「附属明細書」も、「計算書類」そのものからは外され、代わりに、以上の計算書類の注記事項を、「個別注記表」に一括表記することに変わりました。
(具体的には、新「会社法」の委任している法務省令である、「会社計算規則」に則るようにすることになります。)
*計算書類の作成については、継続的な事業経営計画を立てるうえで、わかりやすいものになった、と言えます。
(b) 計算書類の「承認方法」の基本的な部分としては、
これまで、「取締役会で承認した後に監査役の監査を受けていた」のを、「監査役の監査後に取締役会の承認を受ける」、ように変わりました。
(ただし、これは、「取締役会」設置会社の場合で、かつ、監査役設置会社の場合です。取締役会を置かない会社の場合、または監査役を置かない会社の場合は、それぞれ、取締役会の承認または監査役の監査は、行われません。)
(c) 計算書類の「作成時期」に関しては、通常の定款で定めた決算期のほか、期中のいつでも、「臨時決算」が行えるように変わりました。これによって、下記の「剰余金の配当」が、期中でも適宜行えるように変わりました。
(2) 株主に対する会社財産の払戻しについては、『「剰余金」 (下記*参照) の配当』という用語で統一的に把握されて、臨時決算によっても、これを行えるように変わりました。
(3) 債務超過状態の株式会社 (特例有限会社を含む) を消滅会社とする「合併」等が、 (これまで実務上で直接的には認められていなかったものが) 認められるようになりました。新会社法では、合併のほか、会社分割、株式交換、株式移転などの組織再編行為においても、差損の生じる場合でも可能であることが認められた制度となっています。
(*「剰余金」の額は、『最終事業年度末の貸借対照表における、資産額と自己株式の簿価の合計額から、負債額、資本金及び準備金の額等を控除した金額に、最終事業年度末から剰余金配当時までに行った、自己株式の処分や消却、減資、減準備金、剰余金の配当などによる増減を反映した額』とされ、期末後の、資本金、準備金、剰余金等の変動が反映された額です。これも、具体的には、「会社法」と「会社計算規則」に則って確認することになります。
また、会社の純資産額が300万円未満の場合には、剰余金があってもその配当はできないこととされています。)
**「会社法」(平成17年法律第88号)は、附則を除いて979条の条文、
同時に施行された「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」は、528条と附則の1条(これにより引用されて改正される条文はその数倍)、
会社法の委任を受けた政令である「会社法施行令」は、附則を除いて4条、
「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令」は、17条と附則1条、
会社法の委任を受けた法務省令である「会社法施行規則」は、附則を除いて238条、「会社計算規則」は、附則を除いて194条、「電子公告規則は、附則を除いて13条の条文から構成されています。
以上が、会社法施行に伴い施行される基本的な法令で、他に、特別法の改正法令があります。
また、平成18年4月14日には、「会社法施行規則の一部を改正する省令」が公布、施行されました。
法令の定めについては、自分のかかわる会社にとって重要な、あるいは必要な事項から、ポイントをしぽって読んで、認識していくようにしていく、ことが必要でしょう。
※ 以上の他に、新会社法での、定款・議事録・計算書類の作成・備え付けと、債権者・株主からの閲覧謄写請求にかかわる、今後重要になっていく改正・変更事項
基本的な部分での新会社法における改正に関しては、さらに、
(1) 「既存株式会社」と「特例有限会社」に共通して、
『株主及び債権者からの閲覧や謄写の請求があったときには、「定款」に記載又は記録がないものであっても、「新会社法施行に伴って定款に定めがあるものとみなされる事項」を示さなければならない。』ものとされました。
具体的には、「当会社の株式の譲渡については会社の承認を要する」、「当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合には当会社の承認があったものとみなす」、「株主の議決権や利益配当や残余財産分配についての、法令上の基本な定めと異なる別段の定め」、「(監査役を置いている場合に)監査役の監査範囲は会計に関するものに限定される」などの事項については、その時の定款に定めていない場合であっても、その時点で示さなければならないことになります。
そのため、あらかじめ、新会社法施行後の法令に適合する定款を作成しておいた方が、適切に対応できることになります。
(2) 会社法で新たに変更があったのではない事項ですが、どの会社の場合でも、
定款や、議事録や、会計書類など、最低限度の法令に定める会社運営関係書類の作成と、備置きをしていき、債権者や株主からの閲覧や謄写請求があったときには、法令の定めの範囲内で、それに応じる義務があることになっています。
なお、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)のうち、合同会社の場合には、無限責任社員が存在しない、ということがあって、合同会社の債権者は、合同会社の計算書類について、閲覧・謄写請求権を持っていることが、規定されています。
(合名・合資会社に対しては、規定されていません。)
今後、特に取引関係では、それらの文書類を、適法に作成して備置きしておくようにしていくことが、より一層必要になっていくと思います。
(経営上、運営上からも、当然のことではあるのですが。)
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20050605(1)
障害者自立支援法案の審議と法案の問題点について
何よりも、障害者や障害のある子どもとその家族への支援が、「所得に応じた負担を伴う」ものから、「契約に基づいてサービスを利用した度合に応じた負担 (1割負担) を伴う」ものに変更されようとしていること。(29条ないし35条で定められています。)
* 消費税制度の場合には、所得収入や純資産の少ない人の方が相対的に負担が重くなる公的 (税) 制度ですが、この障害者自立支援法の制度の場合、いわば絶対的に、障害が重い人やその家族の方が、その障害が重くなるのに応じて、より負担も重くなる公的制度に変わることになると思います。
** 2005年度「障害者白書」では、在宅の身体障害者(18歳以上) の就労月収は、3分の1が11万円未満、知的障害者(同) の場合、半数以上が3万円以下、とのことです。また、白書は、国民のおよそ5パーセントが何らかの障害を有しており、障害への理解を深める必要性を強調している、としています。(2005年6月8日の新聞記事から。)
特に、
「障害のある子どもとその家族への支援には、契約に基づいた負担を伴う自立支援の制度はなじみません。
児童福祉法では、『保護者と共に児童を心身ともに健やかに育成する責任』(第2条)を国と自治体に課しています。
日本も「批准=ひじゅん」している子どもの権利条約では、障害のある子どもに対する必要な援助は、『父母又は当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えられる』(23条)としています。
これらに基づいた、乳幼児期にふさわしい支援こそ必要」と思います。(当地の障害乳幼児通園施設の職員の意見を援用して。)
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20050204(1)
改正不動産登記法が2005年3月7日から施行されます。
改正の要点は、市民生活上からは、つぎのような点でしょう。
* 法律名は、平成16年6月18日法律第123号の新「不動産登記法」です。改正後の法律の条文は、平成17年4月頃に、「電子政府の総合窓口」内「法令データ提供システム」に掲載されることになると思われます。下記は、現在時点で、法律の委任に基づく細則が公布されている限りでの情報を含んでいます。
(1) 施行日以降順次その指定がなされていく「指定登記所」で、電子登記申請(インターネットを使っての登記申請)ができるようになること
(2) 施行日以降、すべての登記所で、「申請人又はその代理人が出頭して申請をする義務」がなくなること(電子申請のほか、郵送での申請もできるようになること)
* 但し、登記完了後の登記識別情報(コンピーター申請「未指定登記所」の場合には、権利証)は、すべて登記所の「窓口」交付という扱いになっているようですので、下記(4)に述べるように「登記完了後の登記識別情報(又は権利証)を受領しないという選択をする場合」以外は、その受領のためには、地元の司法書士に復代理を委任するか、受領のために一度は出向する必要があるようです。
(3) 出頭申請義務がなくなるその代りに、申請人本人(及びその代理人)からの申請か否かの確認手続が、より厳格になること
(4) 施行日以降、現在の「権利証」が、順次、「登記識別情報」(12桁程度のランダムな英数字等の記号で表示される情報)に切り替わっていくこと
* 権利の登記完了後には、(上記(1)の「指定登記所」以外の場合には、当面「権利証」が交付されるのですが、「指定登記所」の場合には)「登記識別情報」が交付されることになっています。
** 「登記識別情報」は、これを(登記申請のときに申し出て)受け取らない、という選択もできます。
*** また「登記識別情報」は、いつでもその有効性を「失効」させることができる、という制度も取り入れられています。
**** このようにして、あるいは失念などして「登記識別情報」を持たない場合の、不動産登記の申請については、下記(6)を参照。
(5) 施行日以降は、現在の「保証書」の制度が一切なくなること
* 「保証書」制度は、これまでの、「権利証」がない場合にそれに代わる制度として行われてきていた制度で、「その登記申請の登記義務者本人に間違いがないことを保証する」保証人2名の「保証書」を添付してなされてきた制度です。
** 「登記識別情報」が提出されない場合には(また当分の間は使用されることになる−そして順次亡くなっていく−「権利証」が提出されない場合には)、これまでのこの「保証書」制度の代わりに、下記(6)で述べる「事前通知」又は「資格者申請代理人等による本人確認情報の提供」の制度によって登記が行われることになります。
(6) 施行日以降、「権利証」や「登記識別情報」を亡くしていたり、「登記識別情報を失効させ」たりしていた場合(また、「権利証」や「登記識別情報」を申請当初に申し出て受け取らないということも制度としてできるようになりますが、この場合)の登記申請は、登記実行前になされる「事前通知」の制度、又は「資格者申請代理人等による本人確認情報の提供」の制度によってなされるようになること
* 「事前通知」は、「本人限定受取郵便」などの方法で、「登記義務者」宛に、その登記申請がなされたこと、申請内容に間違いなければ所定の方式で申出でをするように、という通知を出して、その申出でがあった場合に限り、その登記をする、という制度です。
この「事前通知」の場合には、「保証書」制度の場合とは違って(「保証書」制度の場合には、登記申請の内容に間違いない旨の申出(所定のハガキの提出)がなされた時点での登記がなされていましたが)、申請の時点での登記がなされます。
** 「資格者代理人等による本人確認」の制度は、一つは、「登記申請を業とすることができる代理人」すなわち司法書士又は弁護士が、その登記の代理人として、その登記申請上の登記義務者が登記義務者本人であることを確認するために必要な情報を提供をし、登記官がそれを受けて「その内容を相当と認めるとき」には「事前通知」を行わないで登記をする、というものです。
この「資格者代理人等による本人確認」制度のもう一つの種類として、その登記申請情報を記載し又は記録した書面や電磁的記録について、公証人がその登記申請上の登記義務者が登記義務者本人であることを認証している場合であって、登記官がそれを受けて「その内容を相当と認めるとき」には「事前通知」を行わないで登記をする、というものがあります。
(7) 施行日以降、「権利に関する登記」については、すべて、「登記原因証明情報」を添付して登記申請をしなくてはならなくなること。
* これまでは、事実上「登記原因証明情報」そのものの提供は不要でした。この「登記原因証明情報」の提供の義務化によって、不動産登記手続上での法律関係が必要的に明確にされることになり、重要な財産権である不動産の取引に関するトラブルがより減少していくと考えられます。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20041203(1)
20041201「民法一部を改正する法律」(民法の現代語化と、保証人の責任範囲等についての一部改正法)が公布されました。施行は、公布日から6か月内の政令で定める日です。(追記:政令により2005年4月1日施行。)
改正内容の要点は、下記の20040814の「民法現代語化案」で述べたことと共通するものになります。そちらもご参照ください。
なお付け加えると、まず、民法の全条文に、条見出しと項番号が付され、より分かりやすい用語が使用されています。
次に、保証契約は書面で行うことが必要なります。そうでないと無効。さらに、貸金等の根保証契約について、極度額を定める必要があり、それを定めない根保証契約は無効。その他根保証契約の元本確定などに関して新たな条項が設けられました。
上記改正後の条文での「民法」は、具体的な法律問題の解決のうえでも、またその前提となっていることの多い一般的な共通認識を確認するうえでも、さらには、法律について勉強を基礎から始める場合にも、より共通的に(多くの人々にとって)有益なものになっていると思います。
条文そのものは、6か月内位には、"電子政府の総合窓口"ホームページの中の"法令データ提供システム"の窓口で、確認できるようになることになります。それまでの間は、検索サイトで下記20040804項目に述べた「民法現代語化案」で検索して、代用して確認できます。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20040814(1)
法務省民事局参事官室より、「"民法現代語化案"に対する意見募集」が20040804公開されています。20040903締切ですが。
(「法務省」のホームページ内の「パブリックコメント」の中で、「民法現代語化案」として、インターネット検索サイトから内容を検索できます。)
各条文の意味は同じものとして(であること)を前提にして、かつ、基本的には現行の条番号はできるだけ変更しないで行う、というものです。「補足説明」が付されています。
案そのものについては、一読してより分かりやすい、ものになっています。
上記「補足説明」中の、「確立された通説の解釈と整合を図るための条文の改正点」を読むと、現行民法の各条項の基本的解釈として変動する余地がないと考えられ、かつ、現行条文の中では明示されていないために、条文そのものからは一読したかぎりでは異論の余地のあるものとなっている条文の解釈事項についても、法律条文そのものの中に明示する、ようになっているとのことです。
この(実質的には改正とはいえないと解されている)改正点部分も、すべて、ごく基本的な民法の条文にかかわるもので、具体的な法律問題の解決のうえでも、またその前提となっていることの多い一般的な共通認識を確認するうえでも、さらには、法律について勉強を基礎から始める場合にも、案としての現段階で、有益なものだと思います。
この改正とセットで、保証人の責任の範囲に関して(特に根保証契約に関して範囲を制限する)改正をする法案が、上程される予定です。(上記「民法現代語化案」の「補足説明」)
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20040731(1)(0815追記後)
前提の明証性のための、憲法9条での「戦争」・「武力」・「戦力」及び「国際紛争」の一応の定義、並びに憲法9条の改正の必要性について
憲法9条は、第1項で、「・・・国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と述べ、
第2項で、「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」と述べています。
戦争を、「(1)国権の発動に基づく、(2)兵器(=武器)の使用による、(3)基本的に他国民に対する、(4)基本的に多人数の、(5)結果的にのものを含む殺人行為」と、
武力及び戦力を、「(1)国権の発動に基づく、(2)相手国との間の紛争を解決する手段としての、(3)兵器(=武器)を使用する能力」(「=軍備=軍事力」)と、
また、国際紛争を、「(1)国権の発動に基づく、(2)相手国との間の紛争」と、
−少なくとも今はまだ、多くの人にとっての明証性ある前提とは言いにくいと考えますが−、このように一応の定義を与えて、憲法9条について、その、改正を要するか否かについて、 自身で考えてみます。
憲法9条を改正しないで遵守していくことによって(あるいはそれでこそ)、より国民の生命や、幸福追求権を守っていくことができるのか否か、という観点からです。
そうだ、と考える場合には、その実効性を考えると当然に、国家間の核兵器を含む軍縮を進めていく活動は、不可欠の必須要件になるでしょう。
なお、現在、憲法9条の遵守義務を、少なくとも公務員が負っていることは、憲法99条により明らかです。
そしてその結果、特にその実効性を考えると、少なくとも当然に、諸国間の軍縮を進めていく活動への尽力義務を負っていることも、不可欠の必須要件になっているものと考えます。
また、憲法前文の第2項及び第3項は、当然憲法9条の前提規定でもあるもので、諸国間の軍縮を進めていく活動は、9条の規定の、中心的な具体的な活動形態になるものだと考えます。
(憲法前文の第2項及び第3項は、「電子政府の総合窓口」の中の「法令データ提供システム」窓口で、『日本国憲法』を検索して読むことができます。その前文の第2段落と、第3段落です。一応ここにも引用します。
「(第2項)日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
(第3項)われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」)
憲法9条を改正しないで遵守していくことによって(あるいはそれでこそ)、より国民の生命や、幸福追求権を守っていくことができるのか否か、という観点から、具体的には、
(1)日本国民が海外で外国軍隊に拉致あるいは殺害されるという時、(2)あるいは、外国が日本列島内にミサイルを打ち込んでくる時、(3)あるいは、日本列島内に外国軍隊が侵略してくる時、(4)あるいは、アメリカ合衆国が在日アメリカ軍を動員して日本政府や国会や地方政府(たとえば沖縄県)などの権限に違法に制約を加えてくる時、などの場合の問題が考えられます。
いずれも、国民に対する殺人行為がなされる時、なされようとする時です。
いずれの場合も、9条を改正して軍備を増強させていくことによってよりも、9条を遵守して、諸国家間の核兵器を含む軍縮を進めていくことに各国政府を尽力させていく政治的活動によってこそ−さらには、諸国家の国民一人一人の経済的活動をも、諸国家国民の富の(一部の人間への極端な"偏有"状態から)"遍有"化への方向へ向けていくことを含む倫理=友情を培っていく方向へ諸国家政府を尽力させていくことによって、
のほうが(そしてそれでこそ)、より国民の生命や、幸福追求権を守っていくことができると考えられます。
アメリカ合衆国民である、そして合衆国国民への強力な影響力も持っているマイケルムーア氏の、『本当の安全保障とは、地球上のすべての人たちが最低限の衣食住を確保でき、よりよい生活を夢見られる状態をつくりだすことです。』(黒原敏行氏訳。「おい、ブッシュ、世界を返せ」−角川書店2003年11月刊、より。)との言葉に示されるとおりだと考えます。
なお、他国が軍事力を動員してその軍事力によって国民に対する殺人行為がなされようとする時に、国権の発動としての、これに抵抗するための抵抗=排除行為(武力行使行為を含む)は、憲法9条にいう「国際紛争を解決するため」の行為とは言えず−個人が殺されそうな時にこれに抵抗して排除する行為(武力行使を含む)を、「紛争を解決するための行為」と言えないのと同じように−、この場合の武力行使は憲法9条に違反しないと考えます。
但し、現在の自衛隊は、憲法9条に違反する軍隊であるものと考えています。「他国が軍隊を動員してその軍隊によって国民に対する殺人行為がなされようとする時に、国としてこれに抵抗するための武力行使行為を含む排除行為)」を取ることに限定された能力を超える、「国際紛争を解決するための」能力を持っている軍事力を持つ軍隊になっていると考えられるからです。
さらに、自衛隊の海外派兵は、憲法9条に違反していると考えます。「他国が軍隊を動員してその軍隊によって国民に対する殺人行為がなされようとする時に、これに対して行使する抵抗=排除行為(武力行使行為を含む)」とは言えず、これを超えた「国際紛争を解決する手段」としての武力行使のためのものだからだと考えられるからです。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20040523(1)
武器を極力持たない勇気と、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案」の審議と。
表記の法律案は、「我が国に対する外部からの武力攻撃」(「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」での規定)に関連して、現在参議院で審議されている法律案です。
この、「我が国」というのは、その中に国民が入るのは当然としても、領土外の国民も含まれているのでしょうか。この法律では、入ってはいない(想定されてはいない)ようです。
領土外の国民の生活を含めて、国民生活の本当の−その侵害に脅(おびや)かされていないことの恒常的な−安全は、(「殺人機器力」と言ってもよいと思われる)軍事力を筆頭とする武器(武力)によってではなく、諸国民間の可能な友情と、諸国民が思慮と言論に基づく正義を実現させようとして勇気を尽くすことによって守られるものだということは、多くの国民の共通認識になってきているように思われます。
(この認識も、現状では、各国政府や国連の一部の機関を動かすほどのものにはなっていない、としても。2003年成立・公布されたこの法律の第1条[目的]が、「武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)への対処について、・・・国民の安全の確保に資することを目的とする」となっていますが、この段で述べるような−憲法に述べられている趣旨の−規定を、関連している法律の指摘と制定の形であっても、入れるべきだと考えます。20140927この括弧書き部分追記。)
極力最強の大量破壊・大量殺人兵器を大量に保有しようとする国の国民や、各自ができる限りの重武装するように努める国の国民が、本当に最も安全な国民であるとは思えません。
このような、本当の安全の観点からの、領土外の国民の生活を含めて国民の生活が外部からの武力攻撃にさらされるような事態の発生を少なくするための方策が、これらの法律の中には入っていません。
日本国憲法の中には、抽象的にであっても、その前文及び第9条によって、この方策が入っていると考えられます。
その他の日本の法律の中に、このような、憲法が抽象的に取り上げている「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」その方策が、具体的に盛り込まれているものは、ないようです。
○法律トピックス 見出しへ戻る。
20040517(1)
政党や代議員などへの個人寄付と法人団体寄付との差異と、参議院議員選挙と。
参議院議員選挙が近づいて、以前から、政党や代議員などに対する法人・団体からの寄付が、現状のように、政治資金であると明示して政党又は政治団体を経由すれば、基本的に自由に行うことができてもよい、とはどうしても思われなかった、その理由(なぜ受け容れがたいのか)を考えてみて。
個人の場合には、(政治資金規制法と、法律の趣旨は異なるにしても相続税法などの定めによって結果的にそうなっているものとを含めて)現状でそうなっているように、社会的に受け容れられる一定額以上の寄付について禁止し、あるいは高度累進課税をすることで、公正さ、ないし少なくとも透明性を確保でき得ます。
これに対して、法人・団体寄付の場合には、個人の身銭は切らなくてよい資金でもありえ、法人・団体に対してその資金力に比例して(直接的にではないにしても利益誘導させえることによって)、投票権を与えるのと同様な効果が生じているのではないか、と考えられます。
単純ですが、この点から、基本的に禁止すべきではないかと考えています。
(「政治資金規正法」をみても、このような点についての疑問は解消されません。
法人/団体寄付の場合にも、一法人・団体の1年間の寄付額の上限規制として3千万円という数字はありますが、その法人・団体間の資本関係がどうこうという規制は、法律の施行令を含めて一切ないようです。)
○法律トピックス見出しへ戻る。
○ Homeへ戻る。
|